NIPPON Kichi - 日本吉

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2007/12/25


飯豊山麓 鳴き砂 Iidesanroku Nakisuna 

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 山形・福島県との県境に立つ飯豊山麓(いいでさんろく)にある中津川地区遅谷は、県内でも屈指の豪雪地帯で、山から流れる豊かな雪解け水に育まれたブナの天然林が広がっている。自然豊かなこの地区には、それを象徴するかのように鳴き砂と呼ばれる砂がある。
 鳴き砂の主成分は石英だとされている。きれいな水や空気の中で充分洗われた石英の砂粒のみが「鳴く」とされているため、鳴き砂が確認されている地域は環境が美しい証でもある。
 「日本の音風景百選」にも選ばれている飯豊山麓の鳴き砂は、歩くと「キュッ、キュッ」という不思議な音がする。全国には約三〇ヶ所の鳴き砂が海辺に確認されているが、それがなぜ海から遠く離れた山里に存在するのかは今も謎に包まれている。この謎を解明するために、この地区が海に面していたのではないか、という仮説が立てられているという。
 五〇〇万年前の太古にまでさかのぼる鳴き砂のロマンに、人々は今も魅了されている。
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2007/9/14


【環】 Kan The Character for Cycle, Ring, Surround

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 環境の環。その形がなかなか深い意味を語っています。上の部分は目です。その下に衣と○があります。○は玉。この三つの要素を含む字体のほかに、さらに強調のために玉偏(たまへん)をつける字体もあります。玉偏自体は三つの玉を貫く紐の形です。
 この字は実は古代の葬儀、死者の復活思想、信仰と関係があります。上の目は開いているので、死者の復活を願う象徴です。古代には死者に玉の賜物を副葬品として添える習慣があったのです。この字はその玉を衣服の襟元に置いた形です。玉を死者の口に含ませることもあり、それは「含」という字になりました。
 白川静先生の著作、『孔子伝』などにもしばしば出てくる荘子の『荘子(南華真経)』に、こういう様々な古代の習慣がよく取り上げられています。もちろんむしろ否定的に。例えば、『荘子(南華真経)』外物篇に道徳的よりどころであるはずの『詩経』と『禮経』の墓と副葬品などの詳しい記述を頼りに、墓を盗掘したり、死者に添えた玉を奪おうとする儒者のことが風刺的に描かれています。
 また白川先生が、日本の代表的な哲学者である西田幾多郎には、漢字の世界をある意味で哲学化した荘子の影響がかなり見られると指摘されているように、そういう背景から見ると漢字には古今を結ぶ一面があります。
 人類の生死に関わる環境。健全な環境の保持を考えるにふさわしい字ではないしょうか。
 
■ 環・金文(きんぶん)
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2007/9/6


木工芸 Moku-kougei 

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 木工芸は、豊富な樹種に恵まれた日本における、まさしく基本的かつ重要な工芸の一つである。
 鉄製工具の普及や、大陸からの技術者の渡来によって発展を遂げ、日本特有の素材を生かした技術の進展、近代においては木工芸の各分野に名匠も現れ、日本における工芸の重要な部分を担うようになった。
 特に、箪笥などの家具や調度品を「指物」(さしもの)というが、そうした生活に密着したものの製作技法が最も多用され、それに伴って様々な発展を遂げていくこととなる。
 それでも、正倉院に残る木工品は、技術的成熟や製作環境の発展がなされた現代の木工芸においても大きな影響を与えるほどであり、木工芸の歴史と奥の深さを物語っている。
 とはいえ、木工芸品の多くは普段の暮らしの中に溶け込み、そうした中で愛着の心や、本物の味を感じさせてくれるものである。
 二度目の命を吹き込まれた逸品は、私達の生活に彩と温もりを与えてくれている。
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2007/8/14


西郷古墳 Saigou-kofun 

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 宮崎市内から、ひむか神話街道を北へ向かう。古事記や日本書紀で多くの舞台となった宮崎は、まさに神話のふるさと。県内のいたるところに文化財、史跡などの歴史遺産が点在している。車は2時間半ほどで美郷町に行き着く。
 美郷町は、周囲を美しい山々に取り囲まれ、小丸川、五十鈴川、耳川といった豊かな清流が流れる。この自然環境に恵まれた町の真ん中に位置する西郷区の外れ、鳥の巣集落からやや離れた、標高400mの地点に西郷古墳(さいごうこふん)がある。
 直径10m、高さ2mの小さな円墳だが、昭和四(1929)年に直刀や鉄剣が出土。さらに昭和五二(1977)年には粘板岩の切石を利用した石棺が発掘された。昭和一〇(1935)年7月2日、県の文化財(名勝)に指定。
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2007/8/2


銀水の滝 Shiramizu-no-taki The Shiromizu Waterfall

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 銀水の滝(しらみずのたき)は、宮崎県東臼杵郡美郷町南郷区上渡川樫葉にある落差80mの滝である。滝と周辺は、県指定自然環境保全地域とされている。
 小丸川(おまるがわ)の支流、渡川(どがわ)の上流・神山谷にあり、山路の途中に宮崎県の巨樹百選に指定されているモミの木、イスの木が存在する。
 山路を登りきったところから見る銀水の滝は、勇壮で豪快、見応えがある。数十mの岸壁に白い筋を引き、優れた景観をつくっており、谷底には滝や渕が断続して多数見られる。
 また、下流200mの林道橋より見る滝の姿は、谷壁斜面に残る自然の林相と相まって、近くで見る時とはまた別の趣がある。
 滝の上流には「まぼろしの滝」、支流には「黒滝」があり、近隣は日本有数の原生林となっており、九州最南端のブナ林がある。
 銀水の滝は、自然に恵まれた、豪壮な瀑布である。
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2007/7/26


長須賀海岸 Nagasuka-kaigan 

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 遠洋・沖合漁業で活気あふれる港町・南三陸。宮城県本吉郡にあるこの地はリアス式の海岸美で知られ、多くの海水浴場がある。長須賀海岸(ながすかかいがん)もそのひとつで、志津川湾に張り出した柏崎半島の湾側にある、景観の素晴らしい海岸である。
 長さ2キロメートルの白い砂浜は、穏やかで遠浅。水の透明度は他にないほどで、海水浴も充分に楽しめる。白い砂浜と青い海のコントラストが大変美しく、夏には海水浴を楽しむ家族連れで賑うという。
 複雑に入り組んだリアス式海岸・長須賀海岸は船釣りや磯釣りも盛ん。初夏のタナゴを始めとしてアイナメやクロソイ、ハゼなど様々な魚の引きが楽しめる。
 バードウォッチングのメッカとしても有名で、12月頃にはアオジやムクドリ、トビなどの愛らしい姿を観察することができるという。
 長須賀海岸は、大切に命の環境を守り育てていきたい、「母なる海」である。
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2007/7/25


加瀬沼 Kase-numa 

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 宮城県多賀城市、塩竈市、利府町にまたがる加瀬沼(かせぬま)は多賀城の外濠として防御の役割を果たした広大な沼。
 江戸時代には堤防を作り、用水地として利用されていた。大正時代始め頃から昭和三八年にかけては塩竈市の上水道として使用。現在は灌漑(かんがい)用水ため池の役割を果たしているほか、沼周辺を「加瀬沼公園」として整備、桜の広場やピクニック広場、炊事施設が造られ、自然を楽しむ市民の憩いの場として親しまれている。
 春には桜、夏には魚釣り、秋には紅葉が楽しめるほか、冬には白鳥や鴨などの渡り鳥が訪れ、四季を通して多くの人々で賑う。
 加瀬沼は、市街地の周辺にありながら様々な命をはぐくむ自然環境を持つ、「母なる水源」である。
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2007/7/23


びふか松山湿原 Bifuka-matsuyama-shitsugen Bifuka-Matsuyama Moor

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 北海道中川郡美深町。その町を見下ろす松山山頂にあるのがびふか松山湿原だ。
 標高797mにあるその湿原は、日本最北の高層湿原としても知られている。
 湿原面積はおよそ25ヘクタール。大小3つの沼が点在しており、それぞれにヒメマスの放流が行われている。
 山頂には、風雪にさらされ矮性化したアカエゾマツやハイマツなどの高山植物が分布するといった特異性があり、学術的にも重要であることから、昭和五一(1976)年には、北海道自然環境保全地域に指定されている。
 自然が色濃く残された湿原には、一周1kmほどの散策路も設けられ、四季折々に花を咲かせるタチギボウシやホロムイリンドウなどの豊富な高山植物を愛でながら、大自然の息吹を思う存分味わうことができる。
 青い空と緑の大地の境目に、矮性化したために奇妙な枝振りをしたエゾマツやハイマツがポツリと頭を出す。
 厳しい自然だけが生み出す風景が、そこには広がっている。
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