土舞台は奈良県桜井市、安倍山城址に位置する史跡である。
　推古天皇二十（６１２）年、聖徳太子が百済の帰化人、味摩之（みまし）が会得した伎楽（ぎがく）を少年たちを集め、学ばせた場所と言われている。
　伎楽とは、中国、インドを起源とする仮面劇。奈良時代には国家に仕える伎楽師が現れるほどの隆盛を誇り、後の日本の芸術に多大な貢献を果たしている。
　土舞台は日本の芸能発祥の地であり、日本最古の国立劇場であるとして保田與重郎が世に広め、昭和四十七（１９７２）年に顕彰式典が行われた。
　現在は土舞台の顕彰を記念した篝能が毎年演じられている。