北海道のほぼ中央にそびえる巨大連峰大雪山。
　その大雪山を含む周辺の山々を包含する、日本最大の山岳国立公園、大雪山国立公園の南に位置するのが沼の原である。
　大雪の奥屋敷ともいわれるトムラウシ山の麓にあることから、沼の原は「大雪の奥庭」と評されている。
　大小いくつかの沼からなる湿地帯であり、数々の湿性高山植物が観察できる。
　この沼の原は大雪の奥庭であると同時に、アイヌの人々からは古来から「神遊びの庭」ともいわれてきた場所である。アイヌの人々の言う神とはキムンカムイ、つまり熊のことであり、それだけ動物たちの姿も豊富で、そのほか鹿などの姿も、運がよければ見ることが出来るだろう。
　ここを本来の遊び場としてきた熊たちには、できれば少々ご遠慮願って、広大な大雪の頂を彼方に眺めながら、足元に広がる珍しい植物たちを見て楽しむ。
　そんな神が不在の庭での一日も楽しいかもしれない。