三栖王子は和歌山県田辺市に位置する史跡である。
　世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つ、熊野古道沿いに位置する九十九王子（くじゅうくおうじ）と呼ばれる神社の一社。
　九十九王子とは平安、鎌倉時代に行なわれた熊野参りの際に参拝を行なった一連の神社を指す。実際には百を越えた時期もあり、多数の神社という意味で名づけられたものである。
　三栖王子は藤原定家の「熊野道之間愚記」や承元四（１２１０）年の藤原頼資の「修明門院熊野御幸記」などの文献に「ミス山王子」の名前で記載されている。
　一時衰退した後、江戸時代に「影見王子」として再興された。現在は珠簾神社に三栖王子跡が残り、いにしえの参道を今に留めている。